ペトロ岐部神父のラテン語の身上書 第2項
語句ノート |
||
辞典は、「Smith's English-Latin Dictionary」と、 Oxford 「A Latin Dictionary」 を使用 |
||
1 |
quoad |
【副詞】・・・に関する限り、英 as to 関して、ついて |
2 |
devotioes |
>devotio 【名詞】 英 piety 敬虔、信心、=devotion 第三変化女性形の主格複数 |
3 |
nihil |
【名詞】無、 英 nothing 【副詞】全くなく 、 英 not at all |
4 |
aliund |
【副詞】(他人と比べて)異なって、 英 from another person |
5 |
peculiaris ? 或いは singularis ? |
【形容詞】特異な
【形容詞】特異な、特殊な、卓越した |
6 |
habui |
完了形 >habeo【動詞】持つ、持っている |
7 |
quod |
【接続詞】 ・・・を除いては 英except that which、 save only that (nisi) quod の熟語のnisiを省略か。(松平千秋著 東洋出版「新ラテン文法」P.287) |
8 |
rosarium |
【名詞】第二変化中性 ロザリオ >聖母に捧げられた「霊的なバラの花冠」の意味から |
9 |
singulus |
=singuli 【数詞、形容詞】みな別々の、一つずつ、個々の(研究社「羅和辞典) 前の rosarium にかかると見る。 |
10 |
singulus |
意味は、上記と同じ。
後の diebus にかかると見る。 故に複数奪格。 |
11 | diebus |
>dies 【名詞】第五変化男性形 複数奪格 (研究社「羅和辞典 P699) この奪格は、「時の奪格」と呼ばれるもの。(泉井久之助「ラテン広文典」P.200) |
12 | cantans か? |
現在分詞 >canto 【動詞】第一変化動詞 (さえずるように)執り行う 英 celebrate or praise in song 分詞は「述語的機能の一種として、いろいろな状況を示すのに用いられる。 (松平千秋著 東洋出版「新ラテン文法」P.155) |
13 | 不明 ??? |
「捧げる」の意味の動詞の現在分詞か???。 |
14 | alius |
【形容詞】異なった、他の 英 another、different 格と性は不明 |
15 | precis |
【名詞】女性名詞の単数対格 祈り 英 a prayer |
16 | alii |
>alius 上記参照 【形容詞】異なった、他の 複数対格 (Elementary Latin Dictionary aliusの項) |
17 | sanctis |
複数対格 >sanctus【名詞】第二変化男性名詞 聖人 英 a holy man 、a Saint |
18 | jejunium |
【名詞】第二変化中性名詞 対格 断食すること |
19 | sabbatum |
名詞】第二変化中性名詞 対格 安息日、土曜日
jejunium の説明の同格だろう |
〔私的な直訳〕 私は、信心については、毎日それぞれのロザリオを唱え、また諸聖人に他の祈祷を捧げ、土曜日に断食を行なうことを除いては、特に変わったことは何もしていない。 |
||
〔備考〕 1620年ローマでのこの決心後、ペトロ岐部カスイ神父は、幾星霜(いくせいそう)の艱難辛苦(かんなんしんく)によく耐え、万里の波濤(はとう)を越えて、10年後に鹿児島に上陸し、再び祖国の土を踏んでいる。 |
H.チースリク訳 |
信心に関しては、私は毎日それぞれのロザリオを唱え、またほかの聖人たちに他の祈祷を捧げ、土曜日に大斎を行なうほかは、特別なものはない。 |